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借地借家法の基本解説
「借地借家法」は、1991年(平成3年)に出来た法律ですが、その元となった「借地法」「借家法」は、大正時代にできました。
いずれも、借主(賃借人)を保護する法律です。
当事者間の賃貸借契約書で、「借地借家法」よりも借主に不利な規定を設けた場合、その規定は無効になるとされています。
借主の保護の中心は、更新に関するルールです。
契約は、本来、契約で定めた期間が過ぎれば終了します。
しかし「借地借家法」では、貸主(賃貸人)は、「正当な事由」がなければ、契約の更新を拒絶できないとされています。
契約期間の満了時に、当事者間で更新の合意をしなくても、法律により、従来の契約関係が存続する「法定更新」と呼ばれる仕組みも用意されています。
賃貸借契約・借地契約の解約規定
賃貸借契約書には、貸主側からも「6ヶ月前までに通知することで中途解約することができる」との規定があることがあります。
しかし、このような規定があっても、「正当の事由」がなければ、貸主からの中途解約はできないと解釈されています。
「借地契約」では、契約の最低期間も定められています。
契約締結後1回目の更新までは30年間、1回目の更新後は20年間、2回目以降の更新後は10年間、借地契約は続くとされています。
契約終了には、常に「正当な事由」が必要?
契約期間が満了したときに、賃貸人から「更新の拒絶」をするには、「正当な事由」が必要です。
「正当の事由」があるかどうかは、下記①~④等により判断されます。
① 貸主・借主それぞれが、土地や建物の使用を必要とする事情
② 従前の経緯
③ 利用状況
④ 「立退料」の金額
立ち退き料を支払えば、更新拒絶は認められる?
借地については、一般的に、営業目的の借地よりも居住目的での借地の方が、
「正当な事由」が認められにくくなります。
また、「立退料」を支払えば、「更新の拒絶」が必ず認められる訳ではありません。
「立退料」は、補完的な要素と言われていて、「借主」に有利な事情が多ければ高くなります。逆に「貸主」に有利な事情が多ければ、低い金額で済みます。
「正当な事由」が無くても解約出来る方法とは?
「貸主」と「借主」が合意をすれば、更新時でなくても、また、「正当な事由」がなくても、賃貸借契約の解約は出来ます。
「借主」の権利を借地権、
「貸主」の権利を底地権といいますが、
「借主」が底地権を買い取ることや
「貸主」が借地権を買い取ることで、
「借主」又は「貸主」が、完全な所有権を取得し、賃貸借契約を終了することがあります。
「借主」が借地権の一部を「貸主」に返還し、代わりに「貸主」から底地権の一部を譲渡してもらい、
結果的に「借主」と「貸主」で土地を分割する「等価交換」という方法もあります。
必ず終了する契約とは?
借地借家法が適用されると、契約期間を定めていても「更新」が原則で、契約が半永久的に続くと書きました。
借地借家法は例外も用意していて、必ず終了するタイプの契約もあります。
「定期借地契約」と「定期建物賃貸借契約(定期借家)」です。
「定期借地契約」と「定期建物賃貸借契約(定期借家)」に更新はありません。
定期借地権の種類と注意事項
定期借地権の種類は3つあります。(図①~③)
1つ目は、「一般」定期借地権です。※①
存続期間は50年以上で設定し、期間満了時には、借地人が契約を更新せずに土地を更地に戻して返還すること、
建物の買取請求はしないことを特約で定める借地権です。住居用、事業用の制限はありません。
「定期借地権付きマンション」などに利用されています。
2つ目は、「事業用」定期借地権です。※②
事業の為の建物使用に限られた借地権です。
存続期間は10年以上50年未満で設定します。必ず「公正証書」で契約しなければなりません。地主がリスクを負担せずに、
店舗型の事業を営める優れた制度であり、利用が進んでいると言われています。
3つ目は、「建築譲渡特約」付借地権です。※③
契約期間満了時に借地上にある建物を地主が買い取るという特約のついた借地権です。
存続期間は30年以上で設定します。住居用、事業用の制限はありませんが、
あまり利用されていないようです。
定期建物賃貸借契約(定期借家契約)は、契約は必ず「書面」で行い、かつ更新がない旨の「書面」も交付しなければなりません。
ハンコレスの流れで、電磁的記録も書面とみなすと法改正されました。
定期借家契約を終了させるには、期間満了の1年前から6ヶ月前までに、契約が終了する旨の通知を送る必要がありますが、
期間を過ぎてしまった場合でも、通知を送れば、その到着後6ヶ月で契約は終了します。
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